研究概要 |
家族研究、養子研究、双生児研究など、これまでの臨床遺伝学研究により統合失調症(精神分裂病)発症への遺伝的要因の関与が明らかとされている。近年は分子遺伝学研究により、統合失調症病因遺伝子の同定の努力が国内外を問わず世界的になされている。申請者もこれまでに統合失調症の分子遺伝学研究を行っており、統合失調症の単一の多発大家系を対象とした全染色体領域にわたる連鎖研究すなわちゲノムスキャンを行っている。 対象としている家系は40人程の構成員中、10人がDSM-IVによる統合失調症患者であった。診断は精神科医によるSCIDを使用した構造化面接および診療録記載で確認された。対象者の末梢血からゲノムDNAを抽出するとともに、EBウイルスによる芽球化を行い、凍結保存した。対象者のDNAを使用し、全染色体領域をカバーする400個のマイクロサテライトマーカーを用いてのゲノムスキャンを行った。一次データを取得したが、全領域での遺伝子型の決定には至っていない。そこで、他の連鎖研究で注目されている染色体1q,5q,6p,8p,18領域についてデータ解析を試みた。これらの領域の遺伝子型の決定をみたが、2点連鎖解析では、明らかな連鎖は見いだせなかった。今後は他の領域についてデータ解析を行う計画である。また、1,000人ほどのサンプルを使用し、ケースコントロール研究を用いて18番と22番領域をマイクロサテライトマーカーを使用し多型解析を行っているところである。
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