研究概要 |
腹側被蓋野(VTA)は、覚醒剤精神病や逆耐性現象の成立に重要な役割をもつ。我々は、ラットVTAの電気刺激に対する行動変化を分析し、異常行動がVTA刺激で一過性に出現し、また慢性覚醒剤投与後には、VTA刺激の異常行動誘発閾値が低下することを示した。 今回我々は、VTAの反復電気刺激により、キンドリング現象が生ずるか否かを検討した。VTAキンドリングは過去に、Stevens et al.(1978)によって報告されているが、行動評価の定量化がなされていない。我々はメタンフェタミン(MAP)投与後の自発運動量の変化を、キンドリング前後で定量的に比較した。VTAキンドリング後には、10分後より自発運動量が増加し、キンドリング前よりも増加傾向を認め、MAP投与後240分間の合計自発運動量をキンドリング前後で比較すると、それぞれ6641±2030、8381±1307でありキンドリング後には有意に増加していた。 以上より、中脳-辺縁系ドパミン系を反復電気賦活することで、MAP投与後の自発運動量の増強が2週間にわたり観察された。これはVTAキンドリングによって中脳-辺縁系機能が変化しドパミン系の過敏反応が出現した可能性がある。 以上の結果については「19th International Australasian Winter Conference on Brain Research, Symposium : Kindling, Epilepsy and Synaptic Plasticity, New Zealand,2001」「第24回生物学的精神医学会2002」にて発表済みである。なお現在Brain Researchに論文を投稿中である。
|