研究概要 |
自己免疫疾患モデルマウスのNew Zealand Black(NZB)マウスにおいては自己免疫を発症しないNew Zealand White(NZW)マウスに比較して雄マウスのaggressive behaviorが有意に亢進しており、逆にmale-female interactionは有意に減弱していた。フェロモン情報の伝達経路に含まれる副嗅球にNZBマウスで明らかな解剖学的異常は存在しなかったが,フェロモン刺激後のマウス副嗅球のc-Fos発現強度はaggressive behavior後のNZBマウスではNZWマウスに比較して有意に亢進しており、male-female interaction後のNZBマウスでは減弱していたことより、行動異常に対応して副嗅球での神経活動も変化していることが明らかとなった。 更に両マウスの交配より得られたF1マウスにNZWマウスを退交配して得られた仔マウス約100匹から得られたaggressive behavior、male-female interactionの結果と,全染色体をカバーするように決められた約100個のマイクロサテライトマーカーを用いたQTL解析より上記脳機能異常の染色体上の高感受性部位同定を試みた。その結果、aggressive behavior、male-female interaction両方で1番染色体の限られた領域内に関連候補遺伝子が存在することを明らかにした。上記脳機能と免疫系との関連を調べる目的から,複数の免疫学的指標でのマッピングを同バッククロスマウスで行ったところ,興味深いことにmale-female interactionの高感受性部位はB細胞割合のそれと重なったことより免疫機能自身とフェロモン応答の関連が示唆された。
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