研究概要 |
ヒトVα24ナチュラルキラーT(NKT)細胞にはある種の腫瘍細胞に対し直接的な細胞障害活性があることが我々も含めて報告されている。Vα24NKT細胞にはCD4-CD8-(double negative : DN),CD4+,CD8+のサブセットが存在することが知られているが、サブセットによる抗腫瘍活性の差異については不明である。今回我々は、このVα24NKTサブセットによるin vitroにおける細胞障害活性を比較検討した。またヒトVα24NKT細胞はいくつかのT細胞性腫瘍に対し高い抗腫瘍活性を示すことからこの機序を解析し併せてT細胞性腫瘍に対するVα24NKT細胞を用いた細胞免疫療法について検討を行った。 NKTサブセットの抗腫瘍活性について腫瘍細胞株であるU937, Jurkat, K562等を用いて評価した。結果はin vitroにおいてサブセットはいずれも同程度にU937あるいはJurkat細胞株を傷害した。またK562に対する細胞傷害活性は認められず、NK細胞とは異なる認識メカニズムで細胞傷害を行っていると考えられた。次にNKT細胞がいくつかのT細胞性腫瘍株を傷害したことからT細胞性腫瘍対する抗腫瘍活性について検討した。その結果、T細胞性腫瘍(腫瘍株、患者腫瘍細胞)の多くはCD1dを発現し、NKT細胞はこれらを傷害した。またこの細胞傷害活性はα-GalCer添加により増強された。また細胞傷害活性がほとんど認められない場合でもCD1dを発現していればα-GalCer添加により細胞傷害活性は認められた。これに対してCD1dを発現していないT細胞性腫瘍はNKT細胞に傷害されずまたα-GalCer添加にても細胞傷害活性の増強は認められなかった。 今回の我々の結果からは適切な腫瘍(CD1d分子を発現している腫瘍)を選べばNKT細胞は、直接的にも抗腫瘍活性を示す可能性があるかと思われる。ヒトVα24NKT細胞のin vitroでの増幅は比較的容易であり、今後α-GalCerと組みあわせた養子免疫療法、あるいは樹状細胞とα-GalCerを組み合わせて投与するワクチン療法を検討していきたい。
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