研究概要 |
レニンは輸入動脈平滑筋が特殊化した顆粒細胞から産生され、輸入動脈の内圧上昇、緻密斑管腔内ナトリウム濃度により分泌調節されていると考えられている。しかしこの精巧な細胞間相互作用、細胞内情報伝達機構についてはほとんど解明されていない。本研究の目的は、1)レニン産生細胞の初代培養細胞におけるギャップ結合蛋白(コネキシン)の機能を検索し、レニン産生・分泌に関与する特異刺激物質とコネキシンとの機能連関を解析する、2)単離かん流法を用いて、コネキシンに作用する物質とレニン産生・分泌の関連をex vivoで解析し、レニン分泌機構を明らかにする事である。得られた成果としては、(1)傍糸球体細胞(レニン産生細胞)の初代培養法を確立したが、初代レニン産生細胞にはコネキシン43は存在せず、色素伝播法により、ギャップ結合介在性細胞間交通は認められなかった。(2)機械的刺激により、この初代培養細胞の細胞内Ca^<++>濃度が上昇し、レニン分泌が誘導されるが、この反応はギャップ結合非依存性で、プリン受容体介在性である。(3)単離腎かん流法を用いたex vivoモデルでは、かん流圧の減少によるレニン分泌が促進するが、ATPはこの反応を抑制する。結果として、細胞伸展などによる機械的刺激によるレニン産生細胞からのレニン分泌はCa++シグナルを誘導し、ATP介在性でギャップ結合依存性では無い、ことが明らかとなった。この成果は2002年11月、米国腎臓学会で発表され(Yao J, et al. : ATP, but not gap junction, medi-ates the mechanical strain-elicited intercellular calcium wave propagation in rat juxtaglomerularcells. J Am Soc Nephrol 2002(13) : SA-P0340)現在原著論文を作製中である。
|