研究概要 |
本研究ではマウスにおいて1型糖尿病感受性遺伝子の存在が示唆された染色体領域のヒト相同染色体領域のうち、ヒトでも感受性遺伝子がマップされている第6番染色体長腕上の感受性遺伝子について日本人1型糖尿病の発症への関与を明らかとするべく研究を進めてきた。 ヒトではHLA領域と非HLA領域の遺伝子の解析を進めた.第6番染色体のHLA領域については最も強い感受性を規定するDDM1の本体であるクラスII HLAのDR及びDQ遺伝子の東洋人での分子タイピングを行った結果、感受性遺伝子の遺伝様式がそのハプロタイプによって異なることを見い出した(Diabetes 51:545-551,2002)。また、非HLA頭域の遺伝子としては膵島抗原の一つと考えられるIA-2遺伝子を候補遺伝子として関連を検討し、日本人1型糖尿病の疾患感受性に関与する可能性を指摘した(Hum Immunol 62:518-522,2001)。 また、研究のきつかけとなった第6番染色体のヒト遺伝子座のマウスの相同染色体領域の感受性遺伝子のファインマッピングに向けて、先に我々の研究室より報告した1型糖尿病モデルのNODコンジェニックマウスの凍結卵からの立ち上げに成功した。このコンジェニック系統ではやはりNODマウスに比し糖尿病発症率が低下することが観察された(unpublished)。このコンジェニックマウスの交配により、新たなリコンビナント染色体を見出し、現在複数のサブコンジェニック系統の樹立(Diabetologia 44 supple 1:A55,2001)に向け、選択的交配を行っている.また、クラスII MHC遺伝子の外側に存在するTnf遺伝子の解析によりTnf遺伝子がNODマウスの疾患感受性に関与する可能性を明らかにした(Autoimmunity 35:63,2002)。
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