研究概要 |
死戦期を被せたブタ心停止ドナーモデルを用い移植実験を行い以下の点を明らかにした。 1.死戦期における肝グラフト保護効果について: 1)死戦期におけるProstaglandin E1(PGE1)の投与は細胞膜のbreb Fformationを抑制しえた。 2)死戦期におけるProtease Inhibitor (PI)の投与は肝グラフトヘの好中球集積およびPhospholipase A2の活性化を抑制し細胞膜の脆弱化を軽減しえた。 2.再灌流障害におけるクッパー細胞機能抑制の効果について: 1)死戦期におけるlL-1βおよびTNF-αのInhibitor(FR)の投与は再灌流時におけるクッパー細胞細胞機能を抑制しえた。 2)クッパー細胞機能の抑制は類洞内皮細胞障害発生を軽減しえた。 3)クッパー細胞機能の抑制により各種転写因子の発現が抑制された。 3.再濯流時におけるアラキドン酸代謝制御の効果について: 1)再灌流時のPI投与は肝類洞の収縮に起因する微小循環環障害発生を予防した 2)再濯流時におけるPIの投与により細胞膜のStabilityを保持しえた。 3)再灌流時におけるPIの投与は各種転写因子の発現を抑制した。 4.移植成績: 1)PGE1,PI, FR併用群では100%の長期生存を得た。(4/4) 2)PG, PI併用群では50%の長期生存を得た。(2/4) 3)その他の組み合わせの群,もしくは何も薬剤を便用しなかった群では,全て再潅流後24時間以内に死亡した。 以上より心停止ドナーからの肝移植においては,1)死戦期および再灌流時における細胞膜の脆弱化の制御,2)再灌流時の肝類洞収縮の制御が重要である,と考えられ,PGE1,FRおよびPIの併用により心停止ドナーからの肝移植がより安全に行いうると考えられた。
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