研究概要 |
1.我々が有する消化器癌臨床検体(手術標本)に関して抗癌剤感受性試験succinate dehydrogenase inhibition (SDI)法を行い、抗癌剤(CDDP、CPT-11)に関する感受性を検討した。大腸癌切除標本から19検体に感受性試験を行っている。この結果を下記のグルタチオン関連酵素群との発現との相関を検討している。尚、抗癌剤感受性試験に関しては、生検材料など少量の検体で効果判定が可能であり、また正常間質細胞の混入による影響をうけにくいcollagen gel droplet embedded culture drug sensitivity test (CD-DST)を平成14年度に5例行ったが結果がでなかった。 2.上記の臨床検体に関してグルタチオン関連酵素群(合成段階の律速酵素γ-glutamylcysteine synthetase;γ-GCS、抱合酵素glutathione S-transferase ; GST (GTSP1-1)ならびに抱合体排出ポンプ(MRP family ; MRP, MRP2/cMOAT, MRP5)に関して、その発現レベルをRT-PCRで検討した。同時に採取した正常部分をコントロールとした。大腸癌症例のグルタチオン関連酵素群の発現に関して、γ-GCSは様々な発現パターンをとり、GSTP1-1は、19例中13例で発現が低下、MRP2/cMOATは19例中10例、高発現であった。MRP, MRP5は、正常ではほとんど発現しておらず、コントロールよりは高発現となる症例も認められたが、その傾向は一定ではない。抗癌剤感受性とグルタチオン関連酵素群発現の相関に関しては、MRP2/cMOAT高発現例では、CPT-11の感受性が低下する傾向を認めたがCDDP他の薬剤では関連を見いだせなかった。
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