研究概要 |
生体内分子間相互作用解析装置(Biacore 3000,BIACORE, Uppsala, Sweden)を用いてmatrix metalloproteinase (MMP)の細胞外基質分解活性をreal-timeに計測し,定量かする方法matrix degradation assayを開発した.本法は,以下の特徴を持っていた. (1)Real-timeの観察が可能であり,分解初速度を計測可能であり,単位重量あたりの組織内に含まれるMMPによる細胞分解活性の評価が5分と言う短時間で可能であった. (2)基質の固定化はゼラチンが最も良子であった.Type 1 collagen, lamineは分解速度が遅く,微量の生体材料の場合には30分程の判定時間が必要であった. (3)がん細胞のmatri gel invasion assayによって評価した,浸潤能とMMP活性は相関していた. (4)生体材料を用いた検討でも解析が可能であり,浸潤・転移予測に有効であった. (5)甲状腺癌での検討では,未分化癌で最も浸潤・転移能が高くこれらの細胞ではmaspin (mammary serpin)の過剰発現がみられた. (6)maspinの発現とdegradation assayの結果は相関していた. matrix degradation assayはがんの浸潤・転移能の判定ばかりでなく,新規MMP inhibitorのスクリーニングにも有用な方法であり,分子標的治療法の開発に大いに貢献すると思われた.
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