研究概要 |
神経栄養因子であるPEDF(human pigment epithelium-derived factor)のin vitroにおける浸潤・増殖抑制作用を確認する目的でPEDF遺伝子の細胞への導入を行った。PEDF遺伝子とレポーター遺伝子であるEFGP(enhanced green fluorescence protein)を組み込んだプラスミドを、膵癌細胞株であるPanc-1,MiaPaCa-2,BxPC-3,AsPC-1にトランスフェクションを行った。リン酸カルシウム法では各細胞ともに10-20%程度の細胞に発現が認められず効率が悪いため、リポフェクション法を用いて遺伝子導入を行った。トランスフェクション後、EGFPをマーカーにFACS(florescence-activated cell sorting)を行い、遺伝子導入された細胞のみを選別した。現在、膵癌細胞株のうち低分化腺癌のPanc-1と未分化腺癌のMiaPaCa-2でPEDF遺伝子が導入されたstable cell lineを確立することができた。これらのstable cell lineとcontrolと細胞のgrowth curveにより細胞の増殖能を比較した。その結果、Panc-1においてはPEDF導入群とcontrolでは差が認められなかったが、MiaPaCa-2では、有意にPEDF群で増殖の抑制が認められた。現在、BrdUを用いたELISA法にて増殖抑制についての再検討を行っており、同時にChemotaxis chamberを使ったinvasion assayを施行しており、浸潤能についても検討している。
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