研究概要 |
<目的>肺および心筋という特性を踏まえて心筋reperfusion injuryの予防に改良を加え、血栓除去術後のreperfusion lung injuryを防止する方法を確立する。 <方法>(1)肺塞栓症モデル犬:右内頚静脈を露出し、カテーテルを左肺動脈第1分枝まで進め、8-embolization multiple-curled coilを左主肺動脈に留置。次に0.1ml tissue adhesive enbucrilateをカテーテルから注入、5%Dextroseを注入してcoilを左肺動脈に固定。4週間後、肺動脈圧、右室圧、肺血管抵抗、心拍出量を計測し、造影を行い慢性肺塞栓モデルの確認・評価。(2)超低体温循環停止下に左肺動脈塞栓除去術。(3)Reperfusion lung injury防止の検討(a)Free radical scavengerを大動脈遮断前に人工心肺回路から投与。(b)血栓除去後、肺動脈へ脱血管挿入。白血球除去フィルター装着送血回路から低灌流圧で再灌流を開始、10分後に通常の灌流圧とし人工心肺離脱。 以上のプロトコールを保護群とし、対象群(人工心肺を使用するのみ:Control 1、肺塞栓モデルに人工心肺を使用するのみ:Control 2、肺塞栓モデルに人工心肺および循環停止を併用する:Control 3)と比較。 (4)各群での離脱後の肺動脈圧、右室圧、肺血管抵抗、心拍出量、左肺動脈Wedge pressure、左肺ガス交換能(PaO2,PaCO2,Base Excess)を評価。さらに右肺を遮断した状態で同諸量を計測し、評価・検討する。 <結果>保護群では、PaO2、肺動脈圧ともにコントロール群に比べて良好な値を示した。 <まとめ>本プロトコールに基づく手法によりreperfusion injury予防効果が期待できる。
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