Human PEG3 sequenceの解析結果から作成したanti-human rabbit polyclonal抗体を用いた免疫染色では、様々な脳腫瘍の中で特にgliomaでPEG3の発現が認められた。しかしp53やEGFRなどとの発現とPEG3発現との間に相関は見られなかった。唯一Ki-67や悪性度とは若干の相関は認められた。PEG3はGliomaの中でも特にoligodendrogliomaに高率に発現されているというい報告もあり、ある種のgliomaにのみ限定して働いているtumor suppressor geneである可能性が示唆された。 また、malignant gliomaでは10番や19番短腕に、oligodendrogliomaでは1番の長腕や19番の短腕にLOHが見られることは良く知られているが、PEG3も同様に19番の短腕に位置する遺伝子である。このため、引き続き上記の結果を踏まえて、oligod endrogliomaに特異的に発現するというanti-CNPaseの免疫染色をPEG3発現の程度と比較するとともに、1p : D1S1612、10q : D19S412、19q : D10S541をmarkerとしたMicrosatellate Array Assayを行い、それぞれの腫瘍に於けるLOHの有無とPEG3及びCNP発現の程度を検討した。 しかし、PEG3やCNPはoligodendrolia系のgliomaで有意差を持って発現するようなことはなかった。また19LOHのあるものはPEG3の発現は当然ながら低かったが、それ以外のLOHとPEG3発現との有意な関係は得られなかった。唯一、gliomaのgradeや腫瘍増殖能とPEG3発現との間に相関傾向が認められたが、これも統計学的な有意差は確認できなかった。
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