研究概要 |
1.ヒト骨髄間葉系細細胞はhomogeneousな線維芽細胞様細胞の集団であった。ヒト骨髄間葉系細胞は過去の文献と同様な表面抗原の発現パターンであった。このような細胞群を用い、コラーゲンscaffoldに播種して、施行した3次元培養の結果、scaffold内には十分な数の細胞が存在しており、in vitroでの培養が可能であることがわかった。また、これらはI, II, III型コラーゲン,アグリカンのmRNAを発現していることが明らかになった。 2.ヒトの細胞に対する荷重の影響を検討する前に、ラット骨髄間葉系細胞を用いて至適条件の決定を行った。同様に播種したコラーゲンscaffold中の細胞のviabilityをDNA量で評価すると、3日目までは増加し、7日目には減少していた。7日目でH.E.染色にて細胞はscaffold内部まで比較的均一に存在しており,構造物であるコラーゲンへの接着も良好であった。同日の培養組織において,1,2,3型コラーゲン,アグリカン,biglycan, decorin, versican,の発現がノザンブロッティング法により確認されており、培養上清中にコンドロイチン硫酸量が検出された。本結果はコラーゲンscaffoldを用いた骨髄間葉系細胞の3次元培養が、半月板代用材料として有効である可能性を示唆するものである。次に、荷重下での評価を行った。コラーゲンscaffoldのstrainが5-15%となるように負荷を,1Hzで10分/日でかけた場合、7日後のDNA1ugあたりのコンドロイチン硫酸量は0.38ugであり、荷重負荷をかけなかった場合の0.36ugと比し、有意差は認められなかった。荷重により細胞のviabilityが大きく変化することも明らかになり、至適荷重とその頻度については、今後も条件を変えた検討が必要である。
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