研究概要 |
活性酸素種(xanthine/xanthine oxidase, X/XO)暴露による培養ブタ肺動脈血管内皮細胞のアルブミン透過性亢進の機序について検討した結果は以下の通りであった。 (1)責任活性酸素種は_2O^-よりはむしろH_2O_2やOHラジカルである。 (2)血管内皮細胞Ca^<2+>channelの活性化による[Ca^<2+>]_iの上昇が関与する。 (3)活性酸素種により内皮細胞のSH基が酸化されCa^<2+>channelは活性化状態へと変化するが、SH基還元薬により回復する。 (4)本機序が細胞死のみならず内皮細胞機能であるアルブミン透過性制御にも関与する。 (5)細胞外pHの変化(6.6-7.8)自体は[Ca^<2+>]_i、とアルブミン透過性に影響を与えないが、X/XO暴露(_2O^-,H_2O_2)による[Ca^<2+>]_i上昇とアルブミン透過性亢進は、細胞外pHの低下やCa^<2+>channel blocker(Ni^<2+>)により抑制される。 (6)しかし、細胞外pH上昇時(7.8)においては_2O^-,H_2O_2依存性の[Ca^<2+>]_i上昇とアルブミン透過性亢進は抑制されず、Ni^<2+>によっても抑制されない。 (7)患者の血液サンプルの抗プロテアーゼ活性測定法を確立し、その周術期における変動を測定した。 (8)活性化好中球周囲の環境として、活性酸素種(HClO,H_20_2)暴露による抗プロテアーゼ活性低下状態を再現し、アルブミン透過性亢進状態のモデルを作成した。 目下、臨床例からのサンプルをもとにアルブミン透過性の評価システムを構築中である。 *なお、本研究の一部は第16回日本ショック学会において会長賞を受賞した。
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