研究概要 |
サルにおいて、WGA・HRPを手掌皮膚に注入し、3日間の生存期間後、灌流・固定を行い、交感神経節に逆行性に標識された細胞を観察したところ、同側に星状神経節、T2,3交感神経節に標識細胞は認められた。心電図、観血的動脈圧測定、手掌温をモニターしながら、イソフルラン麻酔下に胸腔鏡下に一側T2交感神経節を肋骨上でレーザー焼灼した時のこれらパラメーターの変化は、右側焼灼では、心拍数は、減少し,徐脈となったが、左側焼灼では、有意な変化は生じなかった。動脈圧の有意な変動は認められなかった。手掌温は、焼灼側では、温度上昇を示した。カテコラミン濃度の変化は、焼灼後に減少したが、一側では、有意な変化ではなかった。これらは、ヒトにおいてみられる変化と同様であった。さらに、同様の麻酔下で、T2とT3交感神経節間にクリップをかけた。その後、3ヶ月後に再度全身麻酔下にクリップを除去した。さらに3ヶ月後に開胸して、焼灼部位より、末梢側にHRP粉末を塗布し、3日間の生存期間後、灌流・固定し、交感神経幹および交感神経節の切片を作成した。同時に免疫組織学研究も行い、NPYやPGP9.5について調べた。3ヶ月間クリップ後に除去した場合には、HRP標識線維および細胞は中枢側の交感神経幹や神経節さらに対側にはほとんど認められなかった。また、NPY陽性細胞は、末梢側では、減少していたが、中枢側では、コントロールと比較してあまり変化はみとめられなかった。3ヶ月間クリップによる交感神経遮断では、神経は再生されないのではないかと思われる。短期間のクリップ症例に関しては、まだ、これから実験を続ける予定である。
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