研究概要 |
1、ヒトニューロブラストーマ細胞株を用いた神経細胞傷害モデルの確立 申請者は、申請した低酸素負荷装置により低酸素負荷による細胞傷害モデルを作成した。さらにそれらの細胞傷害の程度をそれぞれ、細胞増殖数、浸透圧、pH、酸素分圧、二酸化炭素分圧、グルコース濃度、ラクテート濃度、及び細胞傷害指標であるLDHの測定により確認した。酸素負荷については8時間負荷で、約半数の細胞が死にいたり,12時間負荷でほぼ100%死に至る.この実験系につき低酸素負荷の細胞障害モデルを確立した。 2、低温、プロスタサイクリン、グリオスタチン、リポコルチン1の神経細胞保護作用の確認 この体酸素モデルを用い、低温の細胞保護効果について、細胞増殖数、浸透圧、pH、酸素分圧、二酸化炭素分圧、グルコース濃度、ラクテート濃度、及びLDH測定で確認した.きらに、脳浮腫に関係すると思われる、ウォーターチャンネルのアクアポーリン(AQP)ファミリーの遺伝子発現を検討した。低酸素負荷によりAQPファミリーのうち4、5、9の発現がtime-dependent低下した.また、低温培養が、低酸素負荷により引き起こされるAQP4、5、9の発現の低下を防いでいることを確認した。特に、AQP4と5については、低酸素負荷後8時間で元のレベルの1.2〜2.0倍の増強が認められた。低温は、低酸素によるAQP4,5,9の発現低下を抑制した.これらの結果は低温による脳浮腫軽減作用と細胞保護作用の発現機序に関わりがある可能性が示唆された。現在、その結果を論文作成中である。その他、プロスタサイクリン、グリオスタチン、リポコルチン1については検討中である。
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