麻酔科ペインクリニックを受診した末期癌の癌性疼痛患者に対し、書面および口頭で本研究の主旨と方法について説明し、書面による同意を得られた患者を対象として、1)同意書取得段階、2)モルヒネ投与量または投与経路変更直前、3)変更一週間後、4)変更二週間後に採血を施行した。平成13年度の結果にさらに症例を追加し、末期癌患者20名が対象となった。いずれの患者も肝機能および腎機能の低下はなく、治療変更後に疼痛は改善していた。細胞性免疫(総リンパ球数、リンパ球幼弱化反応、CD4/CD8比率、IL-2産生能、NK細胞活性)、液性免疫(IgG、IgM)について、血漿モルヒネ濃度、Morphine-6-glucronide(M-6-G)濃度、Morphine-3-glucronide(M-3-G)濃度、M-6-G/Morphine、M-3-G/Morphineとの相関関係を検討したところ、それぞれに有意な相関関係は認められなかった。動物実験においてはモルヒネとその代謝産物の免疫抑制作用が報告されているが、ヒト末期癌患者におけるモルヒネ臨床使用量では、モルヒネおよびその代謝産物の免疫抑制作用は認められないことが示唆された。
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