研究概要 |
前立腺癌に関わる新しい男性ホルモン反応性遺伝子の同定のために以下の実験を行った。 Androgenにより刺激した男性ホルモン反応性ヒト前立腺癌細胞株LNCaP細胞を採取し、RNAを抽出した。Differential display法(DD法)によりこれらの細胞間で発現の異なる遺伝子断片を取り、sequence解析を行った。その後、この遺伝子断片をNorthern blot解析、または、RT-PCRにより発現の相違の再現性を確認した。 DD法により85個の遺伝子断片を採取しsequence解析、Northern blot解析、または、RT-PCRを行い、発現の相違の再現性を確認した遺伝子断片は4つであった。1つはhomosapiens liprin alpha-2 geneとcomplete match(1201-2),2つめはmouse Nkx3.1と75%相同性あり(904-2)、3つめはhuman tcp-1とcomplete match(102-2),4つめはdbESTにてcomplete matchを認める遺伝子断片(35)であった。これらの遺伝子断片はNo.1201-2のみがandrogen down-regulateであり、そのほかはandrogen up-regulateであった。 次にNo.1201-2,904-2においてLNCaP以外のandrogen非依存性前立腺癌細胞株(PC3,DU145)においてその発現をRT-PCRにて調べたところ、両者ともLNCaPに比べPC3,DU145では発現が低下していた(No.1201-2ではPC3,DU145では発現は認めなかった)。また、liprin alpha-2 geneがヒト前立腺組織、ヒト前立腺癌組織において発現していることを初めて示した。
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