研究概要 |
子宮頚癌とその初期病変である上皮内癌の大部分でHPV E6/E7タンパクの持続的な発現がみられ,それらは悪性形質の維持に必要とされている.HPV E6/E7アンチセンス遺伝子導入を行い,内因牲のE6/E7遺伝子発現の抑制を試みた.HPVのE6/E7遺伝子を標的とするため,正常細胞に対する影響は少ないと考えられる. HPV感染子宮頚癌細胞株HeLa(HPV18型)とSiHa(HPV16型)よりゲノムDNAを抽出,PCR法によりHPV E6/E7遺伝子領域を増幅し,E6/E7アンチセンスmRNA発現プラスミドベクターを作製した.HeLaとSiHa細胞にリポフェクション法で遺伝子導入し,G418で選択,遺伝子安定導入株をクローニングした.RT-PCR法でE6/E7アンチセンスmRNAの発現を確認したのち,内因性のHPV E6/E7 mRNA発現に対する影響を検討した. HeLaとSiHa細胞ともに,6株ずつの遺伝子安定導入株をクローニングした.E6/E7アンチセンスmRNAの発現は,HeLa6株中すべての株で,SiHa6株中5株で確認されたが,内因性のHPV E6/E7 mRNA発現には変化がみられなかった. 子宮頚癌はp53依存性アポトーシスの経路が潜在的に保たれていることから,HPV E6/E7の発現抑制よる抗癌剤感受性の増強が期待される.今後更に検討を加えていきたい.
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