研究概要 |
1 抗リン脂質抗体(抗phosphatidylserine [PS]抗体、抗cardiolipin [CL]抗体、抗phosphatidylethanolamine [PE]抗体)ならびに抗アネキシンV [A5]抗体につきELISA法を用い、反復流産患者および反復体外受精不成功患者を測定した。病原性があると考えられる抗PS抗体、抗CL抗体、抗PE抗体、抗A5抗体のIgGタイプにつき、カラムを用いてポリクローナルIgG抗体を精製した。 2 リン脂質のソースとして、PS/phosphatidylcholine [PC], CL/PC, phosphatidylinositol [PI]/PC, sphingomyelin [SM]/PC, PE/PC, PCそれぞれのリポソームを作成し、BiaCore systemにてHPAチップ上でのA5の結合・解離のパターンを検討した。PC liposomeにはA5の結合は認められず、陰性荷電リン脂質が含まれているリポソームの混入がある場合にのみA5が用量依存性に結合した。一方中性荷電についてもA5はわずかながら結合した。 3 上記の患者から得られた抗A5抗体IgGは全て、A5がPSに結合している場合に認識しなかったが、フリーなA5には結合した。一方、マウスのモノクローナル抗A5抗体IgGは、A5がPSに結合している場合にもフリーな場合にもA5に結合した。すなわち患者の抗A5抗体はA5のリン脂質結合部位の近傍を認識する可能性が示唆された。 4 抗A5抗体強陽性患者2名が妊娠継続に成功し分娩を終えた。これらの患者および正常妊婦の妊娠経過中の血漿中のA5濃度を測定した。
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