研究課題/領域番号 |
13771004
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
吉川 欣亮 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (20280787)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ahl / 加齢性難聴 / マウス / コンソミックマウス / 修飾遺伝子 / マッピング / Jackson shaker / Usher症候群 |
研究概要 |
実験用マウスの汎用近交系であるC57BL/6J (B6)系統は、加齢に伴い約10-12か月齢で高度難聴を発症する。そこで、この加齢性難聴を引き起こす原因遺伝子およびその遺伝子と相互作用する修飾遺伝子の単離を目指し、本研究を行った。 昨年度、報告したように、この加齢性難聴を引き起こす原因遺伝子座は第10番染色体上のahl (age-related hearing loss)遺伝子座であることが明らかとなり、第10番染色体を非加齢性難聴系統であるMSM系統由来の染色体に置換したコンソミックマウス(B6-MSM^<10>)を用いた解析結果から、第10番染色体のセントロメアから約22cMの位置に存在することが明らかとなった。そこでこれらの領域を詳細に解析するため、B6とB6-MSM^<10>間で104頭の戻し交配分離個体を作製し、マイクロサテライトマーカーを用いた詳細なマッピングを行った。その結果、原因遺伝子の存在する領域は約3.9cMの範囲に存在することが明らかとなり、さらに、この領域には難聴原因遺伝子であるcadherin 23 (cdh23)およびProtocadherin 15 (Pcdh15)が存在することが明らかとなった。 一方、ahl遺伝子にはいくつかの修飾因子の存在が明らかとなっており、本研究においても難聴モデルマウスの1種、Jackson shaker (js)の原因遺伝子が相互作用することが明らかとなり、加えて、js遺伝子がスカフォールドタンパク質の種であるSans(Scaffold protein including ankyrin repeats and SAM domain)であることが解明された。そこで、Sansとahlの候補遺伝子であるCdh23またはPcdh15との間での相互作用を酵母2-hybrid法により検討した。その結果、Sansと両遺伝子間が結合する可能性が示唆された。さらに、Sans特異的なペプチド抗体を作成し、内耳蝸牛管の免疫染色を行った結果、SansはCdh23と内耳有毛細胞のクチクラ層で、Pcdh15と細胞体で共発現している可能性が示された。Sans、Cdh23およびPcdh15は、それぞれ同様の表現型を示す難聴モデルマウスであるjs, waltzerおよびAmes waltzer、およびそれらがすべてUsher症候群の原因遺伝子であることから、Sansと相互作用するCdh23およびPcdh15はahlの有力な候補遺伝子であると考えられた。
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