研究概要 |
<研究の目的> 電気生理学的手法を用いて緑内障眼におけるS-cone系応答およびL, M-cone系応答を記録し、網膜外層レベルでの各錐体系応答の挙動について検討し、緑内障における網膜内の視覚情報伝達機構の解明の糸口を発見すること。 <研究実施計画> 平成13年度に実施した研究実施計画の内容は以下の通りである。 緑内障患者および正常者に対し、S-cone ERGを記録した。記録方法は,200(cd/m2)の黄色持続背景光により杆体系反応を抑制し,青100(cd/m2),赤緑25(cd/m2)色フリッカー刺激を行うことによりS-cone, L, M-coneの錐体系応答を記録した.刺激電極には,青(470nm)赤(644nm)緑(525nm)黄(574nm)の4色の発光ダイオード(LED)を組み込んだコンタクトレンズ電極を用いた.ERG刺激装置には,カラーLED刺激装置(CLS-1)を用いて各波長間による刺激強度,刺激時間を制御した。発光刺激時間は10msecとし,各波長問におけるL, M-coneの電位が等しくなるよう発光強度を3log unitの範囲内で調整した.記録装置には、(既存の)日本光電社製Neuropack 4を用い500回の加算平均を行った。正常者35例、高眼圧症および緑内障眼43例について記録し結果を統計学的に解析した。その結果、高眼圧状態ではS-cone応答は減弱するもののL, M-cone応答はほとんど不変であるかわずかに減弱する程度であることが判明した。現在実験緑内障モデル眼に対し、発光ダイオード(LED)内蔵電極を用いた高頻度刺激を行って、眼圧上昇の程度と網膜内青錐体系反応の電位変化との関係について現在実験中であり、これらの結果が、明らかになれば緑内障の病因および治療において多くの情報を提供してくれるものと確信する。
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