研究概要 |
cynomolgus monkey(4-5Kg)の黄斑部周囲に波長647nmのクリプトンレーザーで強レーザー光凝固(100μm,0.1sec,800-900mW)を行い実験的脈絡膜新生血管を作製した。10〜15日後にフルオレセイン蛍光眼底造影を行って脈絡膜新生血管が発育したのを確認した。水溶性光感受性物質であるATX-S10Naを生理食塩水に溶解し静脈注射(6mg/Kg)した。ATX-S10Na投与後30-45分後に波長670nmのダイオードレーザーを出力25J/cm^2で実験的脈絡膜新生血管に2分間照射した。照射後1日目と7日目にフルオレセイン蛍光眼底造影、インドシアニングリーン蛍光眼底造影、光干渉断層計を行った。眼球摘出後20%ホルマリン・燐酸緩衝液固定・パラフィン包埋し、病理組織を観察した。 照射後1日目の蛍光眼底造影では脈絡膜新生血管から蛍光色素の漏出は見られなかった。周囲の網膜血管、脈絡膜血管の閉塞は見られなかった。照射後7日目の眼底検査で脈絡膜新生血管は白色に線維化していた。フルオレセイン蛍光眼底造影では脈絡膜新生血管から蛍光色素の漏出は見られず、線維組織への組織染が見られた。インドシアニングリーン蛍光眼底造影では線維組織のブロックによる低蛍光が見られた。病理組織学的には脈絡膜新生血管は閉塞し、線維化していた。 以上よりATX-S10Naは低エネルギーで脈絡膜新生血管を閉塞でき、周囲組織への障害が少ない光感受性物質であると考えた。 現在、組織内のサイトカイン(VEGF,IL-8)、組織内の血管内皮細胞、網膜色素上皮細胞、マクロファージ、熱ショック蛋白を同定するため、それぞれvon Willebrand factor,CK18,HAM-56,HSP-70に対する抗体を用いて免疫染色を行う。また網脈絡膜のアポトーシスの状態をTUNNEL法を用いて検討している。
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