研究概要 |
平成14年度は,ラット形成期脛骨における非コラーゲン性タンパクの発現について検討を行った。 【方法】 Wistar系ラット胎生14日齢(E14)〜生後10日齢の形成期脛骨をを採取し,パラフィン切片を作成した。その後,matrix Gla protein(MGP),およびbone sialoprotein(BSP)のcDNAを鋳型としたDigoxigenin標識RNAプローブを使用し,in situ hybridization法を行った。 【結果】 MGP遺伝子の発現:E16に初めてMGP遺伝子は骨幹中心部の軟骨細胞に発現した。E17では骨幹部の肥大軟骨細胞に遺伝子発現が認められ,E20になると骨端軟骨板の肥大層と石灰化層の軟骨細胞に遺伝子発現が認められた。生後10日齢では,二次骨化中心周囲の肥大軟骨細胞にも遺伝子発現が認められた。いずれの日齢においても骨幹部周囲と一次骨髄腔の骨芽細胞には遺伝子発現が認められなかった。 BSP遺伝子の発現:E17に初めてBSP遺伝子は骨幹部周囲の骨芽細胞と骨幹部の肥大軟骨細胞に発現した。E20になると骨幹部周囲と一次骨髄腔の骨芽細胞に遺伝子発現が認められた。生後2日齢では骨端軟骨板にBSP遺伝子の発現が認められ,生後10日齢になると二次骨化中心周囲の肥大軟骨細胞にも遺伝子発現が認められた。 【結論】 MGP遺伝子は脛骨発生過程の比較的初期より軟骨細胞に発現していたことから,軟骨細胞の分化に関与している可能性が考えられる。また,BSP遺伝子は骨芽細胞と軟骨細胞に発現していたことから,骨芽細胞および軟骨細胞の分化に関与している可能性が考えられる。このように,非コラーゲンタンパクであるBSPとMGPは互いに異なる遺伝子発現パターンを示し,軟骨内骨化の様々な過程に関与している可能性が考えられる。
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