研究課題/領域番号 |
13771089
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
加藤 大輔 鶴見大学, 歯学部, 助手 (50329231)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | P. gingivalis / 線毛 / 病原性 / P.gingivalis / 細胞付着 |
研究概要 |
今回我々は、歯周疾患患者の口腔内から分離した異なる線毛Type(TypeII〜TypeIV)のP. gingivalisを用いて、繊維芽細胞、上皮細胞への付着実験、およびハムスターを用いて感染実験を行い、実際に歯周炎を惹起させ、線毛Typeの違いによる骨吸収の差を検討した。尚、TypeI株については標準菌株であるATCC33277株を用いた。 細胞付着性は、どの株も繊維芽細胞に比べ上皮細胞に対する付着率は全体的に低いものであったが、両細胞に対して同様の傾向を示した。また線毛Type間においては、TypeI株、TypeIII株は付着率が高く、TypeII株やTypeIV株は低かった。その中でもTypeII株、TypeIV株は、付着性の高い株と低い株が存在した。SEMによる観察を行なったところ、菌自体が凝集して細胞に付着しているもの(TypeI・TypeIII)と、あまり凝集せず菌単体で細胞に付着しているもの(TypeII・TypeIV)と、付着様式に違いが認められた。次いでTEMにより各菌株の線毛の発現を観察したところ、TypeI株は多量の線毛を発現していたものの、他のTypeは少量しか線毛を発現していない(TypeII・TypeIII)か、全く線毛を発現していない株(TypeIV)しか存在しなかった。 これらのことから、細胞に対する付着性は、付着様式と関連性があること示唆されたが、菌体表層の線毛の発現量との関係は認められなかった。 ハムスターにおける感染実験には、細胞付着実験に用いた菌株を使用し、菌株間での歯槽骨吸収の差を検討した。歯槽骨の吸収の測定は、ハムスターを感染終了後、麻酔薬の過剰投与により安楽死させ、下顎第一臼歯近心をマイクロCTにて撮影し、画像上にて行なった。 歯槽骨の吸収について、非感染対照群は骨吸収量が1.2mmに対して、感染群は1.6〜1.8mmと有意に骨吸収量が多かった。また、菌株間の比較においては、TypeIおよび一部のTypeII株が有意に多く、特に線毛Type間での骨吸収量の差は認められなかった。TypeII株においては、同じ線毛Type間でも骨吸収量に有意差が認められた。 以上のことから、P. gingivalisの細胞に対する付着やその病原性は、線毛のTypeとは相関性が認められなかったが、一般的に重度の歯周疾患の病巣からTypeII線毛をもつP. gingivalisが多く分離されることから、線毛に関わる別の何らかの病原因子をもっている可能性が示唆された。
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