研究概要 |
本研究は,象牙質面へ各種レーザー照射を行ったのち,照射象牙質面への線維芽細胞の付着について観察することにより,根尖切除術への応用の有用性を検討することを目的としている.まず,う蝕や歯周疾患のないヒト抜去臼歯の根中央部歯根膜を滅菌メスで擦過し,得られた歯根膜をDMEM添加コラーゲン中で初代培養した.一方,抜去歯は抜髄根管拡大を施した後,歯根軸に垂直に2〜3mm厚でスライスした象牙質ディスクを作製した.その切断面をダイヤモンドF,G(F204)で仕上げ研磨した.細胞の播種は,象牙質ディスクの上部に線維芽細胞入り培養液を注いで行い1,2,4,7日の培養を行った.象牙質ディスクを取り出して固定後,凍結乾燥,蒸着の後,ディスクに付着した線維芽細胞をSEMにて観察,計測しコントロールとした.実験群はレーザー照射を象牙質ディスクに非接触下にて行い,Nd:YAGレーザー(歯科用Nd:YAGレーザー手術装置Opelaser Nd2;株式会社ヨシダ・吉田製作所)群では100mJ 10pps 1w 1秒,20pps 2w 1秒,30pps 3w 1秒およびC0_2レーザー(炭酸ガスレーザー装置Panalas C10;松下産業機器社製)群ではモードSP,1w3秒,2w3秒の照射を行った.この照射ディスクを用い同様に培養を行ったところ,コントロール同様細胞の付着増殖を認めた.現在コントロールとの比較を詳細にわたり行っており,今後結果総括するとともにレーザの照射条件をさらに増やして検討を継続する予定である.
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