研究概要 |
ブラキシズムはその強力な咬合力により顎口腔系に悪影響をおよぼすことが知られており,補綴物の破損,歯周疾患,歯の過度な咬耗,顎機能障害などを引き起こし,あるいは増悪させる因子のひとつとして研究対象となってきた.しかし,現在においてもブラキシズムについて未解明の点が多い.その原因のひとつとしてブラキシズム測定の困難さがあげられる.臨床においてブラキシズムを診断,治療するにあたり,簡便に測定,診断できる装置の開発が必要である.本研究の目的は簡便なブラキシズム測定装置を開発することにより,日常臨床において容易にブラキシズムの測定が可能な環境を作り,幅広く応用することにある.これによって従来問診や咬耗の状態などで評価してきたブラキシズムの実態の解明が可能となり,幅広い応用が期待できる.過大な咬合力とこれによって引き起こされるさまざまな障害との因果関係を解明する上で科学的な裏付けが可能となる. 現時点においてはパーソナルコンピュータを核としたPCカード型データ測定システムの構築が達成できている.予備実験の結果と他の研究との比較を考慮し,最も負担の少ない片側咬筋筋活動を測定項目とした.さらに,徳島大学歯学部附属病院第二補綴科の顎機能質問表および口腔内診査に基づき,顎機能に異常を認めない研究協力者をコントロール群として選択し,本測定システムを用いて測定を行ったが,近年の記録媒体の小型化・大容量化にともない記録媒体の再検討が必要となっている.今後,本システムで基礎的な情報収集を行ったあと,携帯型情報端末などを用いて,患者宅と研究室を結ぶ,測定データのインターネットを介したリアルタイム測定システムを開発したいと思っている.測定方法や手順,問診表などの情報をホームページ上でデータベース化することにより,より一層の測定の確実化,入力の簡略化が行えるものと思われる.
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