研究概要 |
1.実験系の確立 平成13年度に行った実験により,手掌の汗腺の活動電位の測定で,発汗によるコンダクタンスを測定する装置(Bioderm)では,刺激後の反応開始時間や反応終了時間の特定が困難であったため,平成14年度に新たに設備費にてバイオアンプ(バイオリサーチ社製ML132一式)を購入し,手掌の活動電位を測定し,発汗によるコンダクタンスと比較した. 実験方法 Biodermの電極は左手指に,EMG電極を左手掌に装着した.EMG電極は双極電極を用い,正極と負極の間は約5cmとし,アースは手首とした.測定は座位にて安静にしてもらい,左手は肘から先を机の上に置き,測定中は腕や手を動かさないようにさせた. 実験結果 安静時,左手指のコンダクタンスは平均5μmho,左手掌の活動電位は平均13μVであった.刺激直後,手掌の活動電位は,平均17μV,周波数20Hz,最大振幅43.25μVの波形を約2秒間観察した後,0.5秒で120μV下がり,この時点より,左手指のコンダクタンスが上昇を始めた.その後,手掌の活動電位は,1.5秒で400μV上昇し,1.8秒で450μV下降した.この時点で,左手指のコンダクタンスは最大となり,約10μmhoを記録した.刺激後,約10秒で手掌の活動電位は,安静時に戻ったが,左手指のコンダクタンスは安静時まで回復していなかった.単一の刺激を与えると,手掌の活動電位は,振幅の差はあるにせよ,ほぼ同等の波形を記録できた.このことより,手掌の活動電位の測定で筋肉ではなく,皮膚の反応が観察できる事が分かった.
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