研究概要 |
咀嚼機能を客観的に評価することは,機能の実態を把握するうえで,また歯科治療による機能回復の程度を知るために極めて重要である.その評価方法として古くから篩分法をはじめとする様々な手法が用いられているが,臨床現場で広く応用されるには至っていないのが現状である.一方,最近のコンピューターの進歩は著しく,デジタル映像によるさまざまな測定が,現実に利用可能なレベルに成って来た. 本研究は,咀嚼後の被験食品の粉砕片をデジタル映像より測定することで,咀嚼能率の簡便な診査法を開発することを目的としたものである。 まず,本システムの基本的な測定能力の検討を行うために,画像解析ソフトウェアNIH Imageを利用して,デジタルカメラで採得した画像を測定した。長径が10から0.5mm程度の円,正方形など各種形態の画像をデジタルカメラで撮影した後,コンピューターに取り込み,画像処理ソフトウェアPhotoshopにてフィルタ処理やイメージ処理を施した後,TIFFフォーマットで保存した。取り込んだ画像をNIH Imageソフトウェアを用いて各画像の面積および長径,短径を測定後,Excelを用いて統計処理をした。その結果,測定面積の誤差はすべての形態の平均で,約7%であった。 続いてピーナッツ3gを習慣咀嚼側にて20回咀嚼してもらい,採取した試料をシャーレに採取し,本システムを使用して,デジタル画像から試料の面積を測定した.また,同じ試料を篩分法にてその容積を測定した. 本システムから得た試料面積と,篩分法にて測定した試料容積を比較検討したところ,その分布は同様な傾向を示し,本システムによる咀嚼能率の診査は十分可能であることが示唆された.
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