研究概要 |
前年度は、短期間で老化徴候が現れる老化促進モデルマウス(Senescence-Accelerated Mouse, SAM)から摘出した顎下腺のEGF、NGFの免疫組織化学的局在を検索するとともに、唾液腺の老化に伴うbiologically active polypeptidesの変化を正常マウスと比較検討した。マウス顎下腺には腺房細胞、介在部導管、線条部導管および多数のエオジン好性顆粒をもつ顆粒管が認められ、病理組織学的に比較すると生後6か月頃まではP1、P6およびR1では構造的に大差は認められなかったが、約1年後ではP1、P6の腺房細胞、介在部導管、線条部導管がR1に対して若干多く認められた。免疫組織化学的には両者の顆粒管にEGF陽性反応を示し、生後1年ではP1、P6のほうがR1より若干多くEGF陽性反応を示した。また、NGF、S100の局在についても同様の所見で、それぞれの導管部に陽性を示した。 本年度はP系統(P1、P6)とR系統(R1)の顎下腺におけるEGFの定量の比較検討を行った。EGF量はR1では加齢とともに増大し、雄は雌の約30倍の量であった。P1、P6も同様に加齢とともにEGF量は増大するが、若干、R1に比較すると増大していた。雌雄差も同程度であった。
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