研究概要 |
近年、う蝕の減少化という社会情勢を受けて、集団に対する画一的な指導から、患者個人にあわせたう蝕予防指導を行おうとする試みとして、唾液を媒体としたう蝕活動性試験のデータを生かした、患者個人にあった予防プログラムを立案することが頻繁になされている。今回は齲蝕発生部位と唾液を媒体としたう蝕活動性試験の関係を探ることを目的に本研究を企画した。 (被験者および研究方法) 被験者は日本歯科大学新潟歯学部附属病院小児歯科に来院した、う蝕を有し唾液摂取の可能な小児で被験者の保護者に対しては研究の趣旨を説明し同意を得たものとした。唾液を媒体としたう蝕活動性試験を被験者に対して行い、併せて栄養摂取方法(飲食回数、飲食時間)を調査した。 (分析方法)被験者をう蝕の発生した歯種別(上顎前歯部群、上顎臼歯部群、下顎臼歯部群、上顎前歯部+臼歯部群、前歯部+臼歯部群)、う蝕の発生した歯面別(隣接面のみ、咬合面のみ、唇頬側面のみ、舌側面のみ、隣接面+咬合面)に分け、各群とサリバテストの各要因との相関を調べた。 (結果)本研究において歯種別、歯面別ともに分析したどの要因に対しても明らかな有意差を認めなかった。 (考察)他の研究者の結果において、SM試験やLB試験とDMF歯数の相関は報告されているが、本研究のように歯種、歯面別に見ている報告は無い。本研究は,より具体的にう蝕発生の予測をたてることを目的としてこのような研究を行ったが、明らかな有意差を認めることはできなかった。その理由として、本研究は主として混合歯列を対象としたため、環境要因に大きな影響をうける乳歯がまだ多く存在する被験者が多く、歯種、歯面では多くの要因が混在するため有意差としてでにくかったと考える。
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