研究概要 |
重症心身障害者を始めとする多くの障害者に歯肉肥大は比較的多く認めららる.1939年にKinballが抗てんかん薬であるフェニトイン(PHT)による歯肉肥大について報告し,その後も多くの研究者によって検討がなされ,PHTが歯肉肥大の原因となっていることが明らかとなったが,PHT服用者すべてに著しい歯肉肥大が認められるっわけではない.これまでの我々の検討において歯肉肥大に影響を及ぼす要因としてPHTの服用が主要因であることがあらためて明らかとなった.また,肥大程度に影響を及ぼす要因として口腔清掃状態の不良,抗てんかん薬であるバルプロ酸の併用があげられた. 本年度の検討では,専門的な口腔清掃(PMTC)が歯肉肥大に及ぼす影響と歯肉溝細菌検査を行い,これらより肥大発症を遅延させる方法や予防法について考察した. <結果> 1.歯肉肥大に罹患している患者28名にPMTCにより肥大程度の改善が認められるか否かについて検討した結果,歯肉肥大状態が完治または改善した者が12名,変化のない者15名,悪化した者1名であった. 2.歯肉溝滲出液の細菌層についてペリオチェック^<【○!R】>を用いて検討し結果,歯肉肥大程度が重症のものに強陽性反応が認められた.しかし,歯肉肥大に罹患にているものでも陰性判定であるものも認められた. これらのことより,歯肉肥大の増悪要因として,口腔清掃状態が不良であるということがあげられると考えられた.歯肉肥大に罹患している場合でも口腔清掃状態を悪化させない指導と処置により増悪を予防できる可能性が示唆された.
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