平成14年度は、手術に問題があったと思われる術後2週、4週、また統計処理を行う上で必要な例数を補うために術後8週、12週について再実験を行った。それらをこれまでと同様の手法により各染色を行い、経時的変化に関するデータの整理を行った。さらに一部不鮮明な染色性を示したものは再染色により評価しなおした。本実験部位での新生骨形成は、面積による検討から徐々に緩やかな増加になった。新生骨表面の骨芽細胞も初期では類円形であるが、徐々に扁平化した。同時に破骨細胞の出現数も増加し活発な吸収による骨の改変がみられた。骨表面にみられた骨芽さいぼうについて、AgNORs染色による細胞活性能の動態で活性の指標となるAgNORs数は、経時的に有意な減少(p<0.05)が確認され、8週以降は有意な変化がみられなかった。以上のことから骨形成の減少が骨芽細胞の活動性の低下に関連することが明らかになった。また本実験では、時問の経過とともに線維性組織の増加がみられた。骨誘導形成法では、線維性組織は骨形成において競合組織として新生骨の形成を阻害する一要因と考えている。このように本実験モデルでも骨芽細胞の活動性が周囲の環境を構成する組織、細胞によって制御されている可能性が示唆された。以上のことから周囲環境の細胞組織等の分析の方法をさらに広く展開するため、免疫染色やin situ hybridizationなどの染色に伴う抗体等の入手が便利なラットでのGBRによる骨形成モデルの予備実験についても検討した。特に骨形成に関与する遺伝子の発現や、環境要因(具体的に)について多様に変化させることができるためのモデルとして、骨形成における骨芽細胞の動態との関係についての検討を試みている。本実験でのAgNORs染色での骨芽細胞の細胞活性については、現在、投稿準備中である。
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