研究概要 |
以下の三項目について研究を行った。 ・2-(アレニル)インドールをジエンとした[4+2]環化反応による多置換カルバゾール合成を再検討した。Lewis酸の添加あるいは新たな試みとしてマイクロ波照射下で[4+2]環化付加反応を行ったが、α,β-不飽和ケトン体が得られるのみであった。これは、基質中のアレン部のエノールエーテルが反応条件中で不安定であることが、原因の1つと考えられる。続いて、より安定な2-(アレニル)インドールを設定し、その合成を検討したが達成することができず本ルートでのカルバゾール合成は断念した。 ・neocarazostatin Bおよびcarquinstathin Aの全合成に対して、次の方法を実施した。まず、アレンを組込んだ共役ヘキサトリエン型熱電子環状反応を活用し、カルバゾール骨格構築後、まずカルバゾールの1位ヘアセトニル基を導入した。これをNaBH_4還元に付し(R,S)-2-ヒドロキシプロピル基に誘導した後、酵素を利用した不斉アセチル化反応を検討した結果、2種の光学活性な1-(2-ヒドロキシプロピル)カルバゾールを得る条件を確立できた。現在、最終工程を検討しており、不斉全合成を達成するとともに新たな知見を得た結果について論文発表を準備中である。 ・epocarbazolin A、Bの全合成に対し、アレンを組込んだ共役ヘキサトリエン型熱電子環状反応を活用し、カルバゾール骨格構築を計画した。この場合、4,7-ジ置換インドール誘導体が出発原料として必要となる。そこで、まず種々合成ルートを検討した結果、7-methoxyindole-2-carboxylateより望む4,7-ジ置換インドール誘導体を合成するルートを確立できた。続いて、得られた4,7-ジ置換インドール誘導体より4行程を経て所望のカルバゾール骨格合成を達成できた。現在全合成を継続中である。
|