研究課題/領域番号 |
13771374
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
冨田 章弘 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (40251483)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 低酸素 / アポトーシス / p53 / HIF-1α / ゲルダナマイシンA / ARNT |
研究概要 |
本研究では低酸素誘導アポトーシスの制御機構を明らかにすることを目的とし、昨年度までに、低酸素下でのアポトーシス誘導において、HIF-1αのリン酸化が重要な役割を果たしており、低リン酸化型のHIF-1αが蓄積し、この低リン酸化型HIF-1αがp53と結合し安定化に導くこと、またHSP90阻害剤のゲルダナマイシンAが、低リン酸化型HIF-1αの出現を阻害するとともにp53の安定化を阻害し、アポトーシス誘導を阻害することなどを明らかにした。今年度は、この低リン酸化型HIF-1αによるp53の安定化のメカニズムについて検討し、以下の成果を得た。 1.p53は、DNA損傷を受けたとき、リン酸化され、安定化することが知られている。そこで、ゲルダナマイシンAのDNA損傷時におけるp53の安定化に及ぼす影響を検討したところ、低酸素の場合と異なり、ゲルダナマイシンAはp53の誘導を抑制できなかった。安定化に重要なp53のSer15のリン酸化について検討したところ、ゲルダナマイシンAはDNA損傷時におけるp53のリン酸化を阻害しなかった。これらの結果と一致して、低酸素下で誘導されるp53は、Ser15のリン酸化を受けていないことが明らかになった。 2.p53の分解に重要な役割を果たすHDM2について検討したところ、低酸素下ではp53と同様にHDM2は核内に蓄積すること、ゲルダナマイシンAはこのHDM2の核内蓄積を阻害することが明らかになった。通常条件下ではp53とHDM2は核外移行され、p53の分解が起こることが知られていることから、低リン酸化型HIF-1αは、p53とHDM2の核外移行を阻害しp53の安定化に導くこと、ゲルダナマイシンAは低リン酸化型HIF-1αの出現を阻害することによりこの過程を阻害するものと考えられた。
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