研究課題/領域番号 |
13771392
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
山崎 正博 星薬科大学, 衛生化学, 助手 (80328921)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 肥満 / 脂肪組織 / ケトン体 / アセト酢酸 / 細胞分化 |
研究概要 |
新規ケトン体代謝酵素、アセトアセチルCoA合成酵素の生体、特に脂肪組織内での生理的意義を明らかとするために、本年度の研究実施計画に基づき以下のような実験を行った。 前年度までの研究より、本酵素は脂肪組織における脂質代謝、特に脂肪酸合成系と深い関わりをもつ可能性が示唆されている。このことを確かめる目的で、脂肪酸合成・分解の大きく変動する状態での本酵素遺伝子の発現変化を検討した。その結果、本酵素は夜間に高発現し、昼間に減少する日内変動を持つこと、絶食負荷により発現が顕著に減少すること、その後再摂食によって通常の栄養状態に復帰するに従って発現量も回復することが明らかとなった。同時に脂肪酸合成系の律速酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子の発現量を検討したところ、本酵素とほぼ同じ挙動を示した。このことから本酵素は体内の脂肪酸代謝の変化に遺伝子の発現が連動しており、両者に深い相関関係があることが示唆された。 更に病態時の本酵素の発現を検討するために、肥満モデル動物であるZucker肥満ラットを用いて実験を行った。Zucker肥満ラットはレプチン遺伝子に異常があることが知られており、これによって過食状態となり、肥満を呈する。特徴として、高脂血症、高インスリン血症、高レプチン血症を発症する一方で、血糖値は通常ラットと同程度であることが上げられる。本酵素は同種の通常体ラットに比べて、肥満ラットでは肝臓において発現が微弱に上昇している一方で、脂肪組織においては発現が著明に減少していた。一方、アセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子は肝臓、脂肪組織ともに発現量が上昇していた。このことは、Zucker肥満ラットの遺伝子上の問題や、そのことに伴う病態異常が、脂肪組織において本酵素と脂肪酸合成系の連動に影響を与えていることを示唆した。その候補としては、Zucker肥満ラットで見られたインスリン耐性を考えており、今後は本酵素や脂肪酸合成系と、インスリンの細胞内シグナルとの関連を念頭において、研究を進める予定である。
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