研究概要 |
本年度は最終年度(2年目)であり、本研究の究極目標である、国際雑誌への論文投稿は実現した(Health Policy & Planning, Oxford University Press)ものの、国外の共同研究者との調査が研究期間内に終了しないなど、時間切れの側面もあった。本研究費補助金は平成14年度で終わるが、平成15年度も引き続き本研究をまとめていく所存である。 具体的な研究実績は以下のとおりである。 (1)国民皆保険の条件分析 復帰前後における沖縄の医療保険の歴史をまとめ、沖縄が国民皆保険に至る条件を教材ビデオにまとめた。タイトルは、「沖縄の医療保険の歴史〜皆保険達成までの経緯〜」(英語版「History of Health Insurance in Okinawa〜Towards Universal Coverage〜」)であり、これから国民皆保険を実施する途上国の医療保険策定者を対象とした教材ビデオに仕上げた(本研究者は、編集責任者であった)。同教材はインドネシアで実際に医療保険の研修の場で試され、好評を得た(インドネシア語版の翻訳もなされた)。 (2)補足的フィールド調査 国内では、福岡県鞍手郡若宮町に赴き、日本の国民健康保険の源流である「定礼」関連の古文書を複写し、国際雑誌「Health Policy and Planning」に投稿した論文の補足資料とした。 国外では、インドネシアの現地研究者との共同研究として、同国の医療保険のWTP(Willingness to pay:保険料支払い意思)に関する調査を計画していたが、プレテストの段階で、先方から連絡が途絶えて一次停止していた。しかし、最近ようやく連絡が復活し、調査内容は一部改訂するものの(現地の保険スキームがアメリカ型HMO形式のJPKMからカナダ型のSocial Health Insuranceに変更することから)、共同研究を再開できる予定である。 (3)学会・論文発表 Ogawa S, Hasegawa T, Carrin G, Kawabata K. SCARING UP COMMUNITY HEALTH INSURANCE : JAPAN'S EXPERIENCE WITH THE 19^<th> CENTURY JYOREI SCHEME. Health Policy and Planning. Oxford University Press in association with The London School of Hygiene and Tropical Medicine.と題する論文で、掲載は平成15年9月号(Vol.18,no.3)である。 (4)最終報告書作成 (2)の国外調査がまとまった段階で、最終報告書を作成する予定である。
|