主に研究の目的3:臨床の看護師が、どのように薬理学の知識を看護判断、実践などに役立てているか、新人看護師にとって困難なことは何かなど現状の問題点、基礎教育との関連を実態調査する。に焦点をあて、臨床看護師を対象として面接調査を実施した。面接は、半構成的質問紙を用いて実施した。質問紙の構成は、1.看護師の個人的特性、2.与薬の際必要とされた知識とアセスメント内容、看護への適応、3.与薬ミスの体験とその要因、4.新人看護師の困難状況、5.新人看護師の状況から考え得る基礎教育に必要とされる能力とした。対象とした臨床看護師(経験年数6、12、13年)3名には、文書で研究の主旨、プライバシーの保護、結果及び公表には匿名性を確保することを説明した上で、同意が得られた場合、研究承諾書にサインを得た。<結果・考察>与薬の際、看護師は、薬剤を使用する目的・副作用・用量・用法・禁忌・相互作用・薬物動態などが不明であれば、必ず文献または添付文書をもとに確認していた。また、これらをもとに、対象の生体の変化を予測し、対象・家族への説明を考慮し、対象の観察をし、効果の確認及び副作用の早期発見に努めている。また、対象のアセスメントをもとに、薬剤の作用と生活の関連性を判断し、看護実践に活用していることが予測された。また、新人看護師の困難状況として、薬剤の使用と患者の状況とを総合してアセスメントし、看護につなげていくには時間がかかる現状が述べられた。この要因として、薬剤の目的・薬物動態などを調べることは出来ても、対象を中心として理解することが困難、薬剤の身体への影響についての認識が不十分であることなどがあげられた。このような状況から、今後の基礎教育に期待することとして、与薬の手技を原則に基づいて確実に行えること、与薬することが対象及び対象の生活にどのように影響するのかを理解できるような教授方略の必要性が示唆された。平成15年度は、臨床看護師を対象とした面接調査を継続し事例を積み重ねていくこと、また新人看護師への面接を通して何に困難を感じているか、その要因は何かを明らかにし、看護実践に必要とされる薬理学について検討を深めていきたい。
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