研究概要 |
1.調査方法:介護老人保健施設で働く痴呆専門棟の施設職員と痴呆入所者の家族との交流の実態を明らかにし,現状での問題点について検討する事を目的に調査を行った。H12年度の群馬県内の調査結果から,入所者の家族への調査を先行することによって交流の実態及び問題点をより明らかにすることができると考えられたため,家族への調査を先行して行った。群馬県内の調査結果と先行研究を基に4月から9月にかけて調査用紙を作成し,11月に予備調査として20名の痴呆専門棟入所者の家族へインタビュー調査を行った。その結果を基に調査用紙の修正を行い,H14.1.4〜H14.2.22にG県内介獲老人保健施設6施設で痴呆専門棟入所者の家族125名に郵送式自記式調査を行った。回収率80%,有効回答率74.4%であった。またH12年度の結果について10月に日本看護学会で発表を行い,現在投稿中。 2.調査結果:今回の結果では退院後そのまま入所が半数近くを占めていた。また特に在宅から移行した家族で入所できただけで感謝しているという意見が多く,交流の機会の増加や家族会についても「あまり思わない」が最も多く,次いで「そう思う」であった。またケア計画の開示についても「全てお任せしたい」が37.6%と最も多く,次いで「意見や希望は特にないが計画は見せて欲しい」が24.7%であった。しかし一方で自由記述の中には職員が忙しく入所者の状態をじっくり聞けない現状やあずけているため要望や希望を伝えづらい等の意見が見られた。また入所者が重症化し職員の負担が大きくなっていることや夜勤の人数が少ない等の理由から職員を増員し入所者へのケアを充実させて欲しいなどの意見があがっていた。今回の結果では半数近くは現状で満足していたが30%前後の家族で交流に対する希望があがっており,今後はどのように相互理解を促進するかについて研究を進める必要があると考えられた。
|