研究課題/領域番号 |
13771546
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
臨床看護学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
高橋 奈津子 東海大学, 健康科学部, 助手 (10328180)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 造血細胞移植 / QOL / 継続的支援 / 退院後 / 症状コントロール / 症状マネージメント |
研究概要 |
本年度は、「造血細胞移植をうけた患者の心身の体験と対処」について、造血細胞移植後の患者8名に面接調査を実施した。移植後3年経過し、免疫抑制剤が継続されている1事例の分析の結果を以下に示す。無菌室退室後から現在までの心身の体験と対処は、経時的に7つの局面がみられた。A氏は、無菌室退室後、『予想を越えた急性GVHDの体験と体力、免疫機能の低下を自覚』し、『決められた制限を守り、早期退院をめざし』ていた。退院前後より、『予測した慢性GVHDの体験と回復への期待』を抱き、『慢性GVHDの予防、症状軽減をはかりながら基本的な制限事項を自分の日常生活にあわせ実施し』ていた。しかし、肺炎による再入院により『免疫不全状態にあることの再認識と死へ引き戻される恐れ』を体験し、『症状マネージメントが強化』された。その後も免疫抑制剤が切れないことに対し『免疫抑制剤連用による脅威』を感じ、『免疫抑制剤に対する自己管理能力を高めて』いた。そして、『移植後の現実の厳しさ、症状コントロールの困難感と回復の限界を自覚』し、『落ち込む気分を立て直し』ていた。しかし、『他人には理解されにくいという思い』を持ち、あえて『他人の理解は求めない』ようにしていた。現在は、『今のままでもよい』と『今に視点をおき、仕事と折り合いをつけている状況を肯定的にとらえようとし』ていた。また7つの局面は、『元の自分への希求』『元の自分と現在の自分のギャップへの葛藤』『現在の自分の承認』にまとめられ、この局面の移行を支えるものとして『生かされたという思いと自分の生の意味づけの模索』があった。本研究により、長期的な症状マネージメントや移植後の回復の限界や社会生活に適応していくための心理社会的サポートの必要性が示唆された。今後も対象者の分析をすすめるとともに、移植後の患者をサポートするための造血細胞移植患者の継続的支援プログラムの開発を実施していきたい。
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