研究課題/領域番号 |
13780022
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
体育学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
齋藤 健司 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (80265941)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | スポーツ / 調停 / 裁判外紛争処理 / ADR / 仲裁 / スポーツ法 / スポーツ基本法 / フランス / 紛争処理 |
研究概要 |
第1に、フランスにおけるスポーツの紛争処理制度の歴史を明らかにした。フランスにおけるスポーツの紛争処理制度は、1975年のスポーツ基本法によって仲裁制度が導入された。しかし、この仲裁制度の実施が失敗し、1984年のスポーツ基本法は、スポーツ調停制度を制定した。このスポーツ調停制度は、1992年のスポーツ基本法の改正によって、調停前置主義が採用され、調停に伴う訴訟期間が延期されることが規定された。そして、1993年に実際に調停規則が制定され、その後スポーツ調停が実施された。 第2に、フランスにおけるスポーツに関する紛争処理の制度構造を明らかにした。フランスでは、(1)裁判所主導によるスポーツ仲介または調停、(2)スポーツ組織、特にプロリーグの調停機関による調停、(3)スポーツ仲裁裁判所による調停、(4)1984年のスポーツ基本法に基づく強制的なスポーツ調停の別があることを明らかにした。また、それらの違いを比較検討した。さらに、フランスにおける一般の調停とスポーツ調停の制度上の違いを比較考察した。 第3に、スポーツ調停の実態を明らかにした。(1)スポーツ調停の件数、(2)スポーツ調停の紛争の分類、(3)スポーツ調停の手続きに関する裁判紛争の傾向、(4)調停不受理事由の分類と傾向、(5)調停人の資格・職業等について明らかにした。 以上のスポーツ調停制度の歴史および実態を考察した結果、スポーツ調停の特殊性、スポーツ紛争の多様性、スポーツ調停の有効性、およびスポーツ調停の課題について考察した。特に一般の調停とスポーツ調停とは、制度構造が異なり、スポーツ紛争は、一般のADRとスポーツ専門のADRによる2重の紛争処理制度が必要であること、フランスのスポーツ調停は72%の解決率があり一定の成果を上げていること、調停は最終的な紛争解決ではないため、一部の紛争は再度行政裁判に付されること、調停と仲裁の併用制度も必要であること、スポーツ紛争は、スポーツ行政裁判の代替的な紛争解決機能があり、行政訴訟の縮減の効果があることなどを結論した。 今後は、スポーツにはスポーツ独自の関係に基づく絵争があり、スポーツ的関係から生じる紛争の法的関係と性質をさらに検討する必要がある。また、ドーピングについては特別な紛争処理制度が医学的な検査体制と関連して別にあることが判明したので、そのことについてもさらに調査する必要がある。
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