研究概要 |
トレーニングによってミオシン重鎖分子種発現は変化する。その要因として、内分泌因子、神経性因子のような外因的なものと、骨格筋が収縮、ストレッチすることによって骨格筋自体に生じる内因的なものが考えられる。本研究では、トレーニングによる神経性因子や内分泌因子が影響しない動的細胞培養モデルを用いて、骨格筋がストレッチすること自体によって生じる変化を検討した。さらに、トレーニング強度の影響をストレッチの頻度を変化させることによって検討した。実験にはマウス筋芽細胞C2C12細胞を用いた。この細胞を約1週間培養し、筋管細胞に分化させた後、動的培養装置(Flexercell Unit)を用いて細胞にストレッチを1週間行った。ストレッチ頻度は5,10,20回/分の3種類とした。ストレッチ終了後、細胞を回収し、ミオシン重鎖分子種の発現をmRNA、タンパクレベルの両方で行った。その結果、mRNA、タンパクレベルとも、ストレッチを行った方の細胞において、全ミオシン重鎖分子種に占めるミオシン重鎖IIbの減少とミオシン重鎖IIaの増加が認められた。また、刺激頻度が多くなるほど、その変化の程度は大きかった。 次に、昨年度作製したミオシン重鎖IIb遺伝子の調節領域を含むプラスミドDNAをC2C12細胞にトランスフェクションし、ストレッチによるミオシン重鎖IIb遺伝子の抑制に必要な調節領域の同定を試みた。残念ながら、プラスミドDNAの導入効率が悪く、調節領域は明らかにできなかった。
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