研究概要 |
今年度は,上記研究課題に関しての1.現地調査,2.研究成果発表,3.成果のとりまとめを行った。 1.現地調査 2002年5月に,南アフリカ北部各地において,食用カメムシの利用と流通に関して,トランスバール博物館ロブ・トムズ博士と共同で観察および聞き取り調査を行った。カメムシはベンダ族の間でよく食べられている。この調査では,ノーザンプロビンスにおける食用範囲,ジンバブウェから南アフリカへの交易状況,採集・調理方法が明らかになった。これはこれにより,南部アフリカを特徴づける昆虫食の一つとして重要であることがわかった。 2.研究成果発表 2003年8月に,南アフリカダーバンにて開催された国際地理学会の生物地理学部門にて,これまでの成果をまとめ,「Human-insect Relationship in Southern Africa」と題し,口頭発表を行った。食用薬用をはじめとするさまざまな利用の仕方とその民族差・地域差について言及し,あわせて昆虫利用が文化的行為としてこの地では生活に組み込まれていることを述べた。 3.成果のとりまとめ 2002年度,2003年度の現地調査での成果と既存データの集成を報告書にまとめた。収録論文は,南部アフリカにおける昆虫の利用,Ethnoentomology of Southern Africa」Human-insect Relationship in Southern Africa, A Key to Understand Human-insect Relationshipであり,調査データをとりまとめ,南部アフリカ地域の特色を提示した。そして,実証研究と理論研究から,昆虫利用を文化地理学的,さらに,その細分野であり学際的分野である民族昆虫学としての枠組みを作った。
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