研究概要 |
1.ウズベキスタンでの空中写真判読および変位地形の現地調査 タシケントにあるウズベキスタン国立マヴヤノヴァ地震研究所で空中写真判読を行うとともに,変位地形の明瞭なフェルガナ盆地南縁とタシケントにおいて現地調査を行った。空中写真判読は前年度の成果を吟味し,現地調査の準備のための補助的なものである。フェルガナ盆地南縁での現地調査では,変位地形と地質構造との関係を明らかにするとともに,簡易断面測量による変位量の測定と変位を受けた地形面でのトレンチ調査によって新期堆積物での変形様式や変位速度の検討を行った。その結果,空中写真判読で認められた変位地形と調和するように褶曲した地質構造やそれに伴う層理面すべり断層が認められた。また,トレンチ調査では,第四紀後期の堆積物が撓曲変形を受けていることが確かめられた。堆積物の風化度や周辺地域の既存研究をもとにして,変位を受けた地形面の形成年代を最終氷期最盛期とすると,鉛直平均変位速度は1mm/年に達する可能性があることが明らかとなった。 2.カザフスタン南東部からキルギスの衛星写真の検索・焼き付けと地形判読 カザフスタン南東部からキルギスに延びるTalas-Fergana断層とその周辺の活断層分布を解明するために,偵察衛星写真を用いて地形判読を行った。衛星写真は,アメリカ地質調査所からインターネットを通じてデータベースを検索し,ネガティブフィルムを購入した。フィルムはスキャナに接続したパソコンを用いてデジタル化された後,カラープリンターで打ち出して衛星写真として整えられた。プリントアウトした写真を用いて地形判読を行い,旧ソ連製地形図にその分布を書き込んで活断層図を作成した。
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