本研究は、歩行動作の実験計測と解析手法を用いてフットウェアの履き心地および適合性における評価方法の確立することを目的とした。第1段階として靴のサイズやハイヒール高が異なる場合の履き心地や適合性の評価を行ないながら、評価に有効な計測項目を選び出し、それらを用いて評価方法の確立と有効性を検討した。結果として、歩行中における下肢の関節角度、下腿の前脛骨筋と腓腹筋の筋活動、着地時の地面反力、着地中の荷重点移動、さらには主観的な歩行感覚評価を統合し、フットウェアの履き心地、適合性の評価方法を確立した。作成した評価方法で、サイズの違い、あるいは婦人靴のヒール高の違いによる履き心地と適合性を評価できることも検証し有効性が確認できた。 第2段階として、先に確立した評価方法が、靴下へも適用可能か検討するとともに、フットウェアの履き心地・適合性の簡易評価システムの構築を行なった。靴下は靴よりも足部への密着性が高く、被服圧の影響を顕著に受けることから、先の評価方法に加えて、平常安静時の着用感の計測項目を追加した。着用時の力学量は小型圧力センサを挿入することによって靴下内部の局所圧を計測し、生理量は同時に計測する心電図から心拍変動の揺らぎ解析を適用した。そして、この力学量と生理量の関係を加味した客観的評価を行なって、着用形態に応じたフットフェアの評価方法を確立した。さらに、フットウェアの種類によらず、また用途・目的に応じた客観的な評価が可能できる、簡易評価システムの構築を試みた。10m程度の仮設歩行路に床反力計など設置し、データ収集と評価には科学技術計算ソフトであるLabViewを用いて、被験者に装置上を数回歩行してもらうだけで、ほぼリアルタイムで評価が得られるシステムを完成させた。
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