研究概要 |
小麦粉は13年度で、薄力小麦粉(バイオレット)および強力小麦粉(オーション)を用い湿熱処理を施し、構造の変化およびレオロジー的性質について検討した。14年度はそれぞれの小麦粉からドウを調製し、タンパク質を分離して電気泳動を行ないタンパク質の性状を検討した。 (1)強力小麦粉(オーション)では、湿熱処理によりドウが調製されにくく、また、水可溶性区分、酢酸可溶性区分のタンパク質量が著しく減少したことから、湿熱処理によってアニーリングがおこり、タンパク質が変性したことから不溶性画分が増加したものと考えられた。この結果は昨年度の実験結果からも裏付けられた。可溶性画分のタンパク質の分子量は、電気泳動から湿熱処理では分子量35,000〜75,000が認められたが他の高分子画分および低分子画分は消失しており、これがグルテンを形成しない要因ではないかと推測された。 (2)小麦粉から分離した澱粉の物性を検討した。示差走査熱量計による熱的性質では、強力粉では、湿熱処理により糊化開始温度と糊化ピーク温度が約12度上昇し、吸熱エンタルピーが1/3に減少した。また、高温側の第2ピークは温度は変化が無いが、吸熱エンタルピーが1/5に著しく減少していた。 穀類を含む10種の澱粉の理化学的性質を測定し、それらの特性値を用いて各種澱粉の相互関係を検討した。澱粉の特性に寄与する特性は、(1)大変形下におけるレオロジー的挙動と糊化特性、(2)微小変形下の粘弾性挙動、(3)澱粉粒の性質であり、これらの特性値から10種の澱粉を4つのグループに分類できた。
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