本研究の14年度は、以下のことを行い研究・実験を進めてきた。 13年度走行実験の考察において、試験供試体へのひずみ・加速度による負荷とも美術品専用車(トラックエアサスペンション仕様)が他の二種類の輸送手段より勝っていることが確認できた。しかし、美術品専用車と乗用車・商用車タイプとの比較を中心に行なったためホイルベース等の条件の差が明確ではなかった。そのため基礎データを取るため新たにトラック(板バネ式サスペンション)と比較走行実験を行なった。 試験供試体は13年度と同種のもので素材は鉄のフラットバーを選択した。1つは現状の形状を使用し、データ測定を行った。もう1つは、長尺遺物の現状を考えフラットバーを分割、保存処理の際使用するエポキシ樹脂により接着を行い試験供試体とした。また上記の条件で脆弱化(錆化)させた試験供試体も作製した。それと共に従来の二種類の車種でも走行実験を行なった。試験供試体の設置条件を前・中・後方部に荷姿方向を進行方向・横方向に設定し、梱包状態と直置きの条件を作り、データの収集を行った。 その結果、梱包状況は従来のウレタンフォームと衝撃吸収シート(主成分:ポリウレタン樹脂)による緩衝材の効果を比較し両方において負荷の軽減と考えられる強振動の緩和、微振動の軽減の効果を確認することが出来た。トラックでの比較走行実験では特に荷室最後部の重力加速度が大きかったが板バネに比べエアサス車は十分に衝撃を緩和していることを確認した。また、トラックにおいては荷室内での同軸上横方向(右・真中・左)の設置位置によって衝撃が異なることも確認したが、車両の個体差によるものかどうかは確認できなかった。
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