研究概要 |
本研究では,工業高専における新たな設計製作教育を提案することを最終目的とし,阪府高専システム制御工学科の第四学年「基礎研究」を中核に置いた設計製作教育を考察する.授業実践を通じて吟味していくことに重点をおき,主に1)コンカレント・エンジニアリング(Concurrent Engineering)を技術教育に導入する場合の3次元モデルに関する研究 2)直列設計製作と並列設計製作の比較に関する研究を行う.また,以上のことを踏まえて,より質の高い「基礎研究」を確立していく. 平成14年度は,直列設計製作と並列設計製作の比較に関する研究を以下のように進めた. 平成6年度より始まった「基礎研究」において,学生はロボット製作をはじめて行う場合が多く,役割分担を決めたグループ作業により1台のロボット製作を行うために,ロボット製作の順序や作業のスケジューリングなどの面において支障をきたすことが多かった.そこで,平成10年度より,第1学年の工作実習において「ライントレーサ(トレースロボット)」の製作を開始した.1人で1台のロボットを半年間で製作させ,直列設計製作の考え方を体験させている.この2つの作業を体験した学生の比較検討を行い,直列設計製作及び並列設計製作の有機的な結合方法を検討した. 学生は第1学年の時に1人で1台のロボットを半年で製作しているために,ロボット製作の順序やスケジューリングなどの面において,効率よく作業を進める方法を学習している.これにより第4学年の「基礎研究」でグループによる並列設計製作をする場合において,その効果が現われていることがわかった.また「基礎研究」において工数分析を行わせることにより,並列設計製作の効果について学習させることができた. また2年間の研究の成果を盛り込んだ内容を信州大学学位論文としてまとめた.
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