研究概要 |
研究実績の概要は以下のとおり. 本研究において、中高齢の初心者のソフトウェア操作習熟過程を分析する一環として、オンラインヘルプシステムのプロトタイプを開発した.具体的には,エラー発生時や確認のために表示されるダイアログについてアイコンを基準に検索が可能な形に分類し,個々の状況に対応する対処方法や解説などの補助情報を提示するものである.本ヘルプシステムは,いわてシニアネットの協力で,コンピュータの利用経験が少ない高齢者を中心に実際に試用していただくことで評価を行った.その結果,アイコンに基づいて検索する手法が高齢者にとって受け入れやすいものであることを確認した.このことから,補助情報を提示する際には,視覚的な特徴を示すことで,利用者が置かれている状況を利用者自身がより適切に判断できるものと期待される. また,利用者の諸特性に合わせて動的に提示するインタフェースを切り替えるためのフレームワークを試作した.その応用として,XMLで表現した同一の操作目的を記述した構造化データから単一または複数のHTML文書を生成するシステムと,利用者のGUI操作特性に合わせて適したGUI部品を用いたHTML文書を生成するシステムを開発した.併せて,後者の事例に適用するため、利用者の特性と適したインタフェースの関連について、実験を通して調査した.本実験の結果,測定可能なGUI操作特性とその利用者に適したGUIの配置手法に関する明確な知見を得ることはできなかったが,キー入力速度に応じて文字入力による項目記入とマウスによる項目選択を使い分けることの有効性を確認することができた. 以上のシステム試作および実験を通し,本研究では,高齢者に対する効果的な支援情報提示手法に関する知見を得,また個々の利用者に適応したインタフェース提示手法の基盤技術を構築した.
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