研究概要 |
本研究では、被験者が確実にすべてのフィードバックに意識を向けドリルに取り組むことができるように、8種類のエラーを対象にした:(a)定冠詞の省略,(b)関係詞thatとwhereの混同,(c)存在文中の連結詞の誤り,(d)3つの名詞の並列の誤り,(e)形容詞の修飾時の副詞と形容詞の混同,(f)be動詞と一般動詞の併用,(g)従属接続詞後の主語の省略,(h)be動詞時の直訳式によるSVCとSV+前置詞句の混同。実験では、まずプリテスト(文章を読んでエラーを自力で探し修正)を与え、1週間後にtreatment(プリテストとは異なる文章中のエラーをフィードバックを手がかりに自力で探し分析。さらにドリル問題を解く)を与えた(A:訂正,B:指摘,C:メタ言語的誘出,D:なし,A':訂正+ドリル,B':指摘+ドリル,C':メタ言語的誘出+ドリル,D':なし+ドリル)。その直後、ポストテスト(プリテストと同じ文章)を与えた。 分析の結果、次の3点がわかった。(1)3つのフィードバック間に差はない。(2)訂正とメタ言語はそれぞれ、なしより有効。ドリルを伴うと指摘、なし、なし+ドリルより有効。(3)指摘はなしとの間に差はない。ドリルを伴うとなしより有効。 また、エラー別に分析した結果、以下の点が明らかになった。 (a)定冠詞には、メタ言語が有効。 (b)関係詞には、指摘がなしより有効。 (c)連結詞には、ドリルが有効。メタ言語と訂正がそれぞれ、なしより有効である傾向。 (d)並列には、ドリルが有効である傾向。メタ言語と訂正がそれぞれ、指摘より有効である傾向で、なしより有効。指摘がなしよりも有効。 (e)副詞には、訂正がメタ言語やなしより有効で、指摘より有効である傾向。 (f)動詞には、フィードバックのタイプやドリルの有無による差は見られない。 (g)接続詞には、メタ言語がなしより有効である傾向。 (h)be動詞時の直訳には、フィードバックやドリルの効果は見られない。
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